ご挨拶

 この度、第22回を迎えました日本血液代替物学会の年次大会をお世話することとなりました。5年振りに、年次大会を南の地「熊本」にて開催できますことを大変光栄に思いますとともに、責任の重さを感じている次第です。

 本大会は、血液の機能の一部を代替するDDS製剤「人工血液」をキーワードに、年に一回、医・薬・理・工学の専門家や関係者の方々が一堂に会して討議、情報交換する重要な場を提供してまいりました。本大会の主たる目的である「人工血液」の実用化に向けた研究を更に推進させるためには、従前にも増し、生命科学を中心とした幅広い専門領域の技術・方法論の連携と融合を図ることが重要であることは言うまでもありません。

 第 22 回年次大会では、これまでの血液代替物研究を振り返りつつ、これからの新たな展開を討議すべく、「血液代替物のイノベーション 〜基礎から臨床へ〜 」を大会テーマとさせていただきました。特別講演には、基礎・臨床領域で幅広く活躍されている著名な4人の先生方、向山政志教授(熊本大学)、岩瀬弘敬教授(熊本大学)、奥 直人教授(静岡県立大学)、杉本幸彦教授(熊本大学)をお招きし、最先端の研究成果について興味深いご講演を賜ります。また、2日目の招待講演では、Hemosol社の設立者で人工酸素運搬体 HBOCを開発し、故土田英俊先生とも親交の深かった Carleton Hsia博士から、現在 CEOを務められる NanoBlood社(米国)の研究成果についてご紹介いただきます。さらに、シンポジウムでは、本大会の趣旨に相応しく、1)「人工赤血球製剤の臨床への橋渡し研究」、2)「血清アルブミンの結合・融合技術による新機能製剤の開発」、3)「人工血小板の新しい展開に向けて」の3つのテーマを企画しました。

 終わりに、ご多忙の中、特別講演、招待講演やシンポジウムのご講演をご快諾いただきました先生方、またオーガナイザーの労をとっていただきました諸先生方に衷心より御礼申し上げますとともに、参加者各位の熱い議論の盛り上がりにより、“森と水の都”熊本で開催される本大会が実り多きものとなることを祈念いたします。


第22回日本血液代替物学会年次大会
大会長 丸山 徹